ラボの修了生が第190回ヒューマンインタフェース学会研究会で研究成果を発表しました。

ラボの修了生である筧弘恵さんが、第190回ヒューマンインタフェース学会研究会で研究成果を発表しました。

レジリエンス向上のためのインシデントレポート評価方法の検討-医療場面におけるエラーが患者に提供される前に発見されたプロセスの分析-
○筧弘恵 (浅香山病院/滋慶医療科学大学), 石原啓之, 岡耕平 (滋慶医療科学大学)

この研究は、医療安全の分野で近年テーマとしてよく取り上げられる抽象的概念「レジリエンス」を客観的に評価する方法を見つけるための研究です。従来、レジリエンスの高低は実際に事故が起きたか否かの後付け評価によってなされることがほとんどで、事前に評価する手法はいくつか提案されているものの、抽象的で客観性に欠けるという問題がありました。

本研究では大量のインシデントレポートデータの中から事故レベル0(エラーは生じたが患者に害が及ばなかった)とレベル1(エラーが生じ、患者に何らかの影響が生じた可能性があるが実害はなかった)との特徴を比較することで、看護師のエラーが患者に届くか否かを分ける客観的特徴を見つけることを目的としました。

わかったのは、看護師が起こしたエラーが患者に届く前に検出されたケースの特徴は、「何かあやまったことを遂行してしまった」というエラーであること、患者にその医療行為が届くまでに関与する医療者が多いこと(チェックの数ではない)、の2つでした。一方でエラーが患者に届いてしまったケースの特徴は「遂行すべきことを遂行しなかった」というエラーであること、患者にその医療行為が届くまでに関与する医療者が少ないこと、の2つでした。

つまりレジリエンスを評価するためには、①その医療行為の工程で生じ得るエラーとして「し忘れ」が生じないような仕組みの手続になっているかどうか、②その医療行為の工程で関与する医療者が2名以上になっているかどうか(同時確認という意味ではない。また、2名いれば十分というわけでもない)、という点が重要であるということが示されました。このような知見は、これまでエビデンスを伴ってきっちりと示されてこなかったため、重要であると考えています。

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