ゼミ生が2人修了しました

今年度も無事にゼミ生を送り出すことができました。2人とも面白い修士論文を書いたと思います。

加藤貴充さん「手術場面の機器操作におけるレジリエンスの評価」
 この研究では、シミュレーション装置を用いて実験室で手術場面を再現し、そのなかで臨床工学技士(を目指す学生/実習経験済)が人工心肺装置のトラブルにリアルタイムでどのように対応するか、ということをレジリエンスの指標(予見・監視・対処)を用いて評価しました。
 結果、予見ができていないと監視ができず、監視ができていないと対処ができない、という知見が得られ、このパフォーマンスをリアルタイムの装置の操作記録データから裏付けることができました。他方、予見していたのに監視ができない、監視できていたのに対処ができない、というケースも多く見られました。このことから予見・監視・対処はぞれぞれ関連はするものの独立した知識であり、3つそれぞれに対して環境による支援や教育の対象とする必要があることが示されました。

角辻久美子さん「夜間救急外来におけるレジリエンスを維持するための看護師の負担評価 -機能共鳴分析手法を用いた安全管理-」
 この研究では、なぜか昼間よりも事故が少ないA病院夜間救急外来を対象に、なぜ事故が少ないのかを調査しました。事故が少ないということはレジリエンスが高いということだろうと考え、レジリエンスの評価手法である「機能共鳴分析手法(Functional Resonance Analysis Method: FRAM)」を用いて、A病院夜間救急外来の機能について整理するとともに、そこで働くスタッフの負担感を調査しました。
 結果、A病院夜間救急外来のレジリエンスは組織全体で担保されているというよりはむしろ、上流工程の一部機能の「がんばり」によって維持されていることが示唆されました。この上流工程の一部機能はわずか2名によって遂行されており、この2名の負担感が他の機能よりも相対的に高いことがわかりました。つまり、A病院夜間救急外来のレジリエンスは数名のスタッフの個人的な(過重)負担によって成立しているということになり、これは潜在的リスクの高さを示唆するものであると考えられました。

 今年のゼミ生は2名ともレジリエンスに関する研究でした。いずれの知見も従来の研究に対して新しい知見をもたらすものだと思います。頑張って投稿論文にまで仕上げてほしいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。