事故分析に関する論文が出ました
ゼミ修了生との共著論文が出ました.
山本鋭二郎・岡耕平. (2019). 放射線治療におけるインシデント事例に対するVTAを用いたヒューマンファクター研究. 日本放射線技術学会雑誌, 75(11), 1249-1259.
近年,安全分野の研究ではレジリエンスという概念が流行っています.レジリエンスとはエラーやイレギュラーな事態が生じても,通常の手続きに復元することのできる組織の持つスキルだと考えられています.この研究では, VTA(Variation Tree Analysis)という手法を用いて,放射線治療における日常の治療手続きが,どのような条件によってうまく機能しなくなり,結果的にどのようにそれらがインシデントに結びついたのかを記述しました.通常の手続きがどのように破綻するのかを示すことで,レジリエンスが機能しなかった理由を検討しようとすることが本研究の狙いでした.この研究のもう一つの特徴は「前向き」の研究であるということです.協力してくださった複数施設で,インシデントが起きるとすぐに駆けつけ,記憶の新しいうちに状況を聞き取るという方法をとったため(聞き取っているという点では「後ろ向き」なのですが),なるべくバイアスがかかりにくい状況で情報収集できたというのが本研究のもう一つの特徴です.