ストーリーを組み立てる
ストーリーを組み立てる能力って重要だな,と学生指導をしていて思います.目の前にある素材は同じなのに,ある人はそれをうまく“調理”する一方で,別の人はその素材を活かしきれないというようなシーンがたくさんあります.強引でも魅力的なストーリーを語れる人は“強い”です.自分に有利な条件を獲得できる可能性が高いように思います.
こういうストーリーを組み立てる能力って育成可能なんだろうか,というのが最近思ったことです.例えば,知能検査の中には「ある一連のストーリーが場面ごとにバラバラになっているカード(か何か)を時系列に沿って正しく並べる」という課題を採用しているものがあります.ちなみに,検査にもよるのですが,ザックリと書くとこの手続きによって,対象者の原因と結果を予測して結びつける能力(≒文脈の理解),時間の概念の理解の能力を見ることができると考えられています.
知能は(ある程度年齢がいけば)基本的には大きく変化しないと考えられているので,前述のストーリーを組み立てる能力って変化しないんでしょうか.検査の手続きだと変化しないかもしれませんが,もうちょっとザックリした「語り方」みたいなものは変化するでしょうね.この語り方の変化みたいなものに私は興味があります.
例えば前述の検査手続きにおいては,正解したかどうかのみが問われることがほとんどなのですが,もうちょっと問い方を変えてみると別のことがわかるように思います.
不正解(想定されたストーリーとは異なる順序で並べる)の子供に「これはどういうお話なの?」と尋ねるとそれなりのストーリーを語る子と,「……わからない(黙る)」という子がいたりします.同じ不正解でもこの違いは大きいんですよね(もちろん黙ってしまう原因もいくつかあります).
冒頭に書いたように素材をうまく“調理”して魅力的なストーリーを語れるってことは,文脈を捉えるということと別軸の能力なのではないかと思います.
そういうことを考えながら,うちの子達とおもちゃを使いながらストーリー作りを楽しんでみました.
使用したおもちゃ?はローリーズ・ストーリー・キューブスというものです.
一度父(私)が見本を見せてからの,
(1)双子兄(6歳6ヶ月)のファーストトライ. ←動画ファイル mpeg4(4.6MB)
そして,それを受けて
(2)長男(8歳5ヶ月)のファーストトライ. ←動画ファイル mpeg4(9.4MB)
さらにそれを受けてからの
(3)双子兄(6歳6ヶ月)のセカンドトライ. ←動画ファイル mpeg4(7.3MB)
あらためてこれをみて思うのは……ストーリーを組み立てるのはやっぱり難しいことなんだなあ,という素朴な感想です.
双子兄の1回目と2回目,比べても質的に何か変化があったようには思えません.ただ,長男とは違うので,発達段階や経験で違いはありそうですね.
論文だったらこんなこと調べてこんな結論書いたら0点ですけど,ブログだからいいよね.
面白いゲームなので興味のある方は是非トライしてみてください.