番組にまつわるエトセトラ

【2013/10/21 ラジオ放送バリバラRも放送されたので追記しました】

バリバラ.本当は最初から最後までいるのですが,ラスト数分の登場になりました.テレビは難しくて,時間枠の都合等があり,コメントしてもコメントが放送されるとは限りません.なので,少し捕捉させてもらおうと思います.

●ロボットスーツについて.

ロボットスーツや歩行アシスト系の技術が近年メディアに掲載されることが多いです.
毎年国際福祉機器展やバリアフリーに参加しますが,いつも感じることとしては,(これは障害支援技術全般に言えることなのですが)誰がどういうシーンで使うのか考えることが重要だということです.

まず,歩くということは移動手段の内のひとつです.なので,車いすユーザーの移動手段として考えると,車いすの方が現在のところは,ずっと便利だと思います.番組では「ロボットスーツを使えば,歩ける.車いすに乗っている人が歩けるようになるのはいいことだ」という主張・展開になっていなかったのが良かったなあと個人的には思います.こういう新しい技術のすごさを示す一方で,番組内では上手くいかなかったシーンも放送されていました.額に装着する視覚補助具にしても同様で,こういう正直なところがバリバラという番組のいいところだなあと思いました.

番組で登場した方は,車いすマラソンをされている方です(次のパラリンピックできっと活躍されると思います,応援してます).装着して足を動かす練習をした後,普段使っていない体幹の筋肉が疲れていたので,筋トレとして良かったと話されていました.最近ロボットスーツがリハビリ機器として紹介されるシーンが多いのですが,現状としては,まだ厚労省の許可は下りておらず,実験段階のようです.リハビリにこのような機械がいるのだろうかとも思いますが,一方で技術が生活スタイルを変えるということも頻繁に起こりえるので,別の用途として広まる可能性もあります.

個人的にはアイアンマンになってみたいです.

●額に装着する支援機器について.

開発者の方は,これからまだまだ改善していく余地がある,と話されていました.現状,あの機器は単体ではなく白杖の補助として使う目的で開発されています.

課題はあるなあと思います.課題というのは,まず番組内でも言及されておりましたが,現状の技術として,ノイズが多い実環境だと物の輪郭がわかりにくいということなどです.そして,そもそも白杖で十分だと考える当事者は多いでしょう.実際,白杖でかなりのことが分かりますし.ただ,白杖で知りうる情報には限界が有り,何らかの補助具で情報取得を補強したいと考える人もいると思います.例えば,白杖を使っていても,車のサイドミラーや看板など,空中に飛び出している物で怪我をする視覚障害者は多いです.

●ブレインマシンインタフェースについて.

「念ずればそうなる」という夢のような状態を将来技術がかなえるというのはあり得る話です.ただ「近い」将来ではないと思います.
一方で,身体の一部さえ任意で動かせるならば,パソコンを操作することは,既に可能です.そのような製品がいくつもあり,実際にまばたきやほおの動きだけだけでチャットをしたり,本を書いたりしている人が,たくさんいます.本当にどこも動かせないという人は少ないです.なので,一部が動かせる人は,ブレインマシンインタフェースよりも,まずは前述の装置を使う方が良いと思います.ただ,ALSのような病気で,本当に身体の一部も動かせなくなる人もいます.そういう人にとって,ブレインマシンインタフェースが期待されるというのはよく分かります.

余談ですが,攻殻機動隊の電脳化には大変興味があります.

●筆記補助具について

これについてはまず,謝らないといけません.
番組内で調子に乗って「将来的に100均で売っててもおかしくない」と発言しました.
制作者の方のご苦労やアイデアのすばらしさを考えると,失礼な発言でした.申し訳ありません.

●スマートフォンのアプリについて

で,ここが書きたかったことなのですが,私はアプリで全ての問題を解決できるとは思っていません.番組を制作されたディレクターさんもそういう誤ったメッセージを送らないように注意をして制作されていました.アプリというのは身近にある手に入りやすい支援機器のひとつであるということです.
最も重要なのは,誰が何のために使うのか,だと思います.道具を使う前に,使う目的がまず大切であるということです.アプリじゃなくてもできることは,かなり多いと思います.無理して使う必要はないと思います.ただ,このアプリのおかげで今までできなかったことができるようになった,という方もいます.番組では,「こういうものを,こういうアイデアでつかったら,問題が解決した,生活の幅が広がった,できることが広がった」というニュアンスになっています.こういうことが大切だと思っています.なにせケータイはケータイしやすいので,汎用性の高いポータブル支援機器になります.障害の有無に関係なく,ケータイが手放せない人は多いはずです.支援技術,というものが仰々しく存在しているのではなく,すでに身近に「あるテク」ノロジーが,アイデア次第で,障害に伴ういろいろな困難を解消するツールになるんだということが言いたかったことです.

●最後に

こういう難しいテーマを,丹念に取材されて,ギリギリのところでうまく調整された上で,番組を作り上げていくディレクターさんの仕事を,この2ヶ月ほど見せていただきました.取材,打合せ,調整,撮影,編集などなど.半日撮影して一切使わなかったシーンもあったりで,なかなか厳しいなあと.小学生並みの感想で申し訳ないのですが,すごいなあとおもいました.全国飛び回られて,いろんな人を取材し,内容と表現のバランスをとりながらも,バラエティー番組として面白く作り上げられる.すごいと思います.バリアフリーをバラエティーにするという挑戦的な試みを実際に番組として継続されているというのはすごいことだと思います,とても勉強になりました.

【2013/10/21 追記】

ラジオ番組「バリバラR」でアプリの紹介についてお話をしました.
放送内容については,以下のページで期間限定ですが,視聴できるようです.
書き起こしたテキスト版も掲載されています(すごい!!!).
http://www.nhk.or.jp/baribara/baribarar/index.html

で,肝心の私が調べたアプリとそのリスト一覧はこちらにあります.
↓↓↓↓↓
http://okakohei.com/archives/category/iphone-app

あと,この手の情報はいろいろな人がまとめているのですが,そのいろいろな人の情報へのリンク集を金森さんがまとめておられます.
金森さんのブログはとても有益な情報満載で,私も勉強させていただいております.

http://kinta.cocolog-nifty.com/kinta/2013/08/ipad20130812-b2.html

【2013/10/21 追記の追記】
公式ウェブサイトで「アフタートーク レギュラー4人の反省会」が掲載されています.
こういうのを載せるところがバリバラのいいところだなあと思います.
何度も頷きながら読み返しました.
http://www.nhk.or.jp/baribara/lineup/131018.html

1 thought on “番組にまつわるエトセトラ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です