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ラボ運営方針

ラボでの研究の進め方について

  研究とは基本的には自らが考えて進めるものであり、主体的に遂行するものだと私は考えています。ただしこれは「自分の力だけで研究を進めないといけない」という意味ではなく、「研究を進める主体は自分自身なんだと意識して欲しい」ということです。では指導教員の役割とはなんなのでしょうか。指導教員の役割は学生が研究を進められるように、指導と助言を行うことです。指導教員が研究を進めてくれるので自分は言われたことだけをしておけば良い、指導教員が何か言ってくるまで自分自身は動かなくて良い、といった考えでいるとうまく研究が進みません。自分が研究を進めるにあたって疑問に思うこと、わからないこと、迷ったことが生じたら指導教員に相談してください。重要なのは「自分で考え、試行錯誤すること」です。ただ、しばらく考えて何も思いつかない場合やどうしたら良いか見当もつかない場合は躊躇せず相談するようにしてください。
  報告・連絡・相談の3つはとても重要です。もちろん逐一事細かく報告・連絡・相談する必要はありませんが、報告・連絡・相談することで誤った作業での時間や労力のロスをするというようなケースを防ぐことができます。自身が損することを防ぐために報告・連絡・相談をしておく、というくらいのスタンスでいいと思います。「何も進んでいないから/何も報告することがないから指導教員と話せない」というのが一番避けるべき状況です。何も進まない時にこそ指導教員と話すことが重要です。そういう状況においてどうすればいいかを助言することが指導教員の役割です。何をどのように報告・連絡・相談すれば良いのかわからない、という場合はその旨を遠慮なく言ってください。気軽に相談してください。どうすれば良いか助言します。

研究遂行能力の身につけ方について

  自分自身の業務や研究対象の「観察」、先人のもたらした知見を学んで独りよがりの思考に陥らないようにするための「インプット」、自分の疑問を言語化して議論できるようにするための「アウトプット」、指導教員や周囲の人たちとの「議論」、の4つを繰り返し続けることで研究が進みます。4つ全てが必要です。
  研究遂行能力を身につけるために大事なことは、以下のようなことです。
  1. だいたい3週間に2回程度のペースで指導教員と議論すること。過去のケースを踏まえると、週1だと息切れし、2週に1回だと研究が遅れる方が多いという印象です。長時間でなくても構いません。もちろん、毎週議論したいという方も歓迎します。研究の進捗状況によっては週に複数回の面談もあり得ます。
  2. 議論するときに自分の考えたことや調べたことをまとめて文章・資料として示すこと。会話だけだと研究が進んだ気分になるだけで実際に研究は進みません。資料はメモ書きのようなもので十分です。ただ、何をどう書けばいいのかわからないので面談アポイントをとりにくい、というのであれば本末転倒ですので、そういうときは気軽に面談のアポイントを取るようにしてください。
  3. 研究を進めるのは自分であることを常に意識しておくこと。指導教員はあくまで助言して導くための存在です。進捗がなくても、進捗がないことについて相談してください。むしろ進捗がない時にこそ相談するようにしてください。進めるための助言をするのは指導教員の役割です。直接会って面談することが最も効率がいいと思いますが、SlackでのテキストベースやZoomでのオンラインベースでも議論は可能です。Zoom面談のアポイントメントについてはSlackかベターですがメールでも構いません。Slackの議論には関心を持って参加するようにしていただく方が研究は進みます。
  4. 書籍をたくさん読むこと。基本的な研究遂行能力を身につけるためには、以下のようなスキルが必要になります。もちろん、これらスキルはゼミの中で指導しますが、指導だけでは訓練の機会が足りません。それらスキルの多くは書籍としてまとまっているので、先に一読しておくのが良いと思います。
    • 複数の研究方法を目的に応じて使い分けるスキル。もちろん、研究方法は書籍を読んで身につくものではありません。しかし、世の中にはどういう研究方法があるのかという概要を知っておくことは重要ですし、その知識を書籍で得ることは可能です。自分は質問紙法しか使わないので実験法や面接法は関係がない、などと考えないようにしましょう。さまざまな研究の方法に関して紹介されいている書籍を読むようにしてください。
    • 文章を書くスキル。文章を書くというのは日常業務で行なっていることだと思いますが、論文を書くとなるとまた別のスキルが必要になります。論理立てて説明をすること、誰が読んでも同じように解釈できる文章を書くこと、などはテクニックが必要です。大学院ではたくさんレポートを書く機会があります。これを機にアカデミック・ライティングについて学ぶと良いと思います。直接指導もしますが、まずはこういうまとまった公開資料を読まれるのが良いと思います。
    • 文献を探すスキル。「論文の探し方・読み方・まとめ方」の部分で書きます。
    • 文献を読むスキル。「論文の探し方・読み方・まとめ方」の部分で書きます。
    • 論理的に考えるスキル。論理的に考えるいわゆるロジカルシンキングのスキルと、批判的に考えるいわゆるクリティカルシンキングのスキルが必要です。これらの能力を早めに身につけておくことは日常生活においても役立つと思います。
    • タスクを管理するスキル。本学で学ぶということは日常生活と労働と学業の3つ全てに取り組むということになります。限られた時間の中で研究活動を遂行するためには、効率を上げる必要があります。人間は複数のしないといけないタスクがあると、それぞれをこなせたとしても複数同時にタスクが存在すること自体に負担を感じるようになります。そうならないようにタスクを管理する必要があります。
    • ミスを減らすスキル。ミスをどう減らすかということは安全研究においてもかなり重要なポイントになります。安全というのは人ではなく、手続に宿るものです。ミスのしやすさというのは個人の認知特性に帰属されることが多いですが、こういうことは個人特性ではなく手続きの工夫でどうカバーするかを考えるほうがいいと思います。
  5. 可能な範囲で他のラボメンバーの面談・議論に参加すること。大学院の指導は自分と指導教員の二者間で進むことが多くなります。そのため、他の人がどのように指導されているのか、どのように研究を進めているのか、何を議論しているのかを知る機会が少ないです。他者の面談に同席し、他のメンバーと指導教員のやり取りを聴講するだけでも勉強になります。うちのラボではSlackでのアポイントメント調整が基本的ルールになっているので、他メンバーの面談がいつあるのかを知ることができます。なぜそのようにメンバー間の面談日が分かるようにしているのかというと、他のメンバーがいつでも飛び込みで参加できるようにするためです。積極的な飛び込み参加を望みます。
  6. 積極的に外部の学会・研究会に参加すること。特に自分の職種と異なる分野の学会に参加していただきたいと思います。そこでどのように学術的な議論がなされているのか知ることで、客観的な自分のポジションを知ったり、研究のトレンドを知ったり、議論の進め方を学ぶことができます。

Slack

 Slackとは、オカラボでコミュニケーションツールとして利用しているビジネスチャットツールです。いわゆるコミュニケーションアプリのLINEのようなものと考えてください。アプリをダウンロードすることでスマホやPCでテキストメッセージでやりとりできるようになります。オカラボで利用しているSlackチャンネルは以下のものです。Slackアプリをダウンロードして、こちらの2つの「ワークスペース」に参加してください。

  • オカラボ:現役のラボメンバー専用のワークスペースです。
  • オカラボ自由ゼミ:現役生・修了生・ラボに興味のある外部メンバーからなるワークスペースです。

上記2つのワークスペースの参加方法については直接お尋ねください。また、使い方の詳細についてはこちらのヘルプページを参考にしてください。

https://slack.com/intl/ja-jp/help


面談アポイントメントの取り方

 ラボでは指導教員との面談予約(アポイントメント)を原則としてSlackの #アポイント チャンネル内で行なってもらうようにしています。Slackにて他メンバーから見えるところで面談予約をしてもらう理由は2つあります。ひとつはメールだと宛名や挨拶のようなものを書かないといけないような習慣があって、私はアポイントをとるくらいのことでそのような挨拶文は必要ないと考えているためです。もうひとつは他メンバーがそれを見ることで、時間調整がしやすくなったり、予約したメンバーの面談に他メンバーが同席(参加)できるようにするためです。他メンバーが指導を受けているのを見ることも自身の勉強になると思います。


ラボルーブリック

 ラボでは独自のルーブリックを作成しています。ルーブリックとは一般的には教育場面で使用される評価基準や指針のことです。学習目標や評価基準を具体的な項目や基準に分解し、それぞれの評価レベルや基準に対する期待値を示しています。これにより、指導側と学習者側が共通の基準で研究の到達度を評価したり、学習目標の設定をしたりしやすくするというのが狙いです。以下のリンクからルーブリックのPDFファイルをダウンロードできます。

https://okakohei.com/OkaLab/rubric2024.pdf


おすすめ書籍

 私が選んだ初学者にオススメの本です。仕事にも役立つ内容だと思います。入学して最初の半年の間に読んでおくと後が楽になるでしょう。これら図書は研究室や図書館に置いてありますが、1冊ずつしかありません。ネットで古本を買えば比較的安価に手に入ると思います。中古でしか入手できないものもあります。いざ修士論文を書く段階になって多くの学生がぶつかる壁が「論文の書き方がそもそも想像できていない」「何からどう書けばいいのかわからない」というようなものです。このような本を読みながら、基礎的なスキルを身につける努力をしつつ、書籍以外にも月に数本は論文を読む習慣を身につけましょう。


論文の探し方・読み方・まとめ方

 研究を進めるためには論文を読み、内容を理解し、さまざまな論文で明らかになったことを比較することで、現時点で当該の問題について何がどこまでわかっていて、どういうことがまだわかっていないのか、を整理する必要があります。

論文の探し方

 研究を始めたばかりの頃は、関心のあるテーマを扱った論文が「探したけど見つからなかった」ということがあります。そこで「先行研究がない」と判断するのは尚早です。先行研究がない研究は存在しません。文献が見つからないと勘違いしてしまうケースには共通する特徴があります。

  • 自分とその周辺しか用いていない特殊な用語で検索をしている
  • 特定分野内のみで検索し、他領域の類似の事柄について調べられていない
  • 関心のあるテーマに関連する専門用語を知らない
  • 医学中央雑誌検索のような特定領域の検索サービスのみで検索している
  • 複数のキーワードをすべて含むもののみを検索することで、近いテーマの研究が見落とされている
  • 日本語のみで検索し、英語文献を探していない
  • 入門書のような書籍を読まず、何も関連知識がないままいきなり論文を検索している

 上記のような問題を避けて文献を探すのが良いです。おすすめは、以下のような方法です。

  • 関心のあるテーマに関する日本語の書籍を読む
  • 上記の書籍に紹介されているような日本語の専門書籍を読む
  • 専門書籍に紹介されていたキーワードを用いて検索する
  • 検索するのにおすすめのサイトはGoogleスカラー https://scholar.google.co.jp
  • 関連する論文が見つかればそこに引用されている論文を芋づる式に読む
  • 論文によく登場する研究者の論文や書籍を探して読む

論文の読み方

 最初は論文を読むのにとても時間がかかると思います。日本語の論文であってもたった10ページ程度の論文を読むのに数日を要すると思います。むしろ、さっと読めてしまうようであればそれは読めていない可能性が高いのではないかと思います。論文を読んで理解するのに時間がかかるのは以下のような理由です。

  • その論文が、関連する複数の研究論文の間で、どのような位置づけなのかわからない
  • 専門的知識がないために、書いてある内容が理解できない
  • 論文の「型」を知らないので、どこに何が書いてあるのかアタリがつけられない

 これらを知るためには、論文を読む前にまず関連分野の書籍を読むといいでしょう。書籍は知識を系統立ててまとめてくれているものが多いです。先に当該テーマに関する情報とその概要を知ってから論文を読むようにしましょう。

 論文には型があります。その型に従って、どこにながを書くかが決められています。つまり、論文の型を知ればどこに何が書かれているのか、予想がつくようになります。論文の型とは以下のようなものです。

  • 背景(この研究が必要である理由を示す部分)
    • 現状としてどのような(社会)問題があるのか
    • これまで、その問題に関してどのような知見が明らかになっているのか
    • そして、その問題に関してまだわかっていないことは何なのか
    • この研究論文ではその「まだわかっていないこと」に対してどのようにアプローチしようとしているのか
  • 方法(この研究を再現するために必要な「レシピ」に相当する部分)
    • 何を対象に
    • どのような手段を用いて
    • どのような手続きで
    • 何を測ろうとしているのか
  • 結果(この研究の結果からわかったことを示す部分)
    • 測った結果、どういうデータが得られたのか
    • 得られたデータが何を意味するのか
  • 考察(この研究の価値を説明する部分)
    • 得られたデータとそのデータがもたらした意味は、他の先行研究と比べてどのような価値を示すのか
    • 今回のデータから何をどこまで言えるのか
  • 文献(この研究と関連する情報をたどれるようにするための部分)
    • 紹介した知見の詳細を読み手が確認するために必要な情報

論文のまとめ方

 読んだ論文で自分の研究に関連すると思うものはレジュメを作ってまとめておくといいでしょう。慣れればそういうものを作らなくてもよくなりますが、修士課程の間は関連する論文をまとめる練習をしておくことをお勧めします。論文をまとめるコツは、前述した論文の「型」に沿って端的に情報を整理することです。私が作成した論文まとめテンプレートのダウンロード用リンクを以下に示します。

論文まとめテンプレート

統計分析に役立つサイト/ツール

 統計分析というのは、(社会)科学において扱われるデータを要約し、その特徴を抽出し、データ間の関係性や変化を理解するための方法のひとつです。強力な方法ではありますが、統計分析のみが重要なわけではありません。この点に注意しながら、研究目的に応じて、自身の扱うデータに対応した適切な分析手法を選択し、使用する必要があります。

 統計ソフトにデータを入れ、ボタンをポチポチと押せば統計分析の結果が出力されます。でも待ってください。その分析は適切なものでしょうか。そこを事前に考え、準備しないまま統計ソフトで分析をしたところで、その結果が意味することの信頼性と妥当性に疑義が生じてしまいます。統計ソフトが総出力したから正しい、というものではないことに注意しましょう。

 データの取り扱いは、研究計画の時点ですでに検討し、データの分析方法まで決めておく必要があります。データを取り終えてから「このデータをどう分析しようかな」などと考えることは原則としてあり得ないのです。そのために指導を受けたり書籍を読むことで、研究計画を立てる時点で必要な分析方法を選ぶことができるようになっている必要があります。分析手法についてはWebサイトを見て勉強することもできます。以下に役立つサイトを紹介します。関西学院大の清水先生のサイトです。

フリーの統計分析プログラム HAD(Excelのマクロで動作します)

Excelで今すぐはじめる心理統計 簡単ツールHADで基本を身につける(HADの使い方を解説した書籍)


現役生以外のラボメンバーへ

 気軽に研究室を利用してください。在学時代に行った研究に関係しないことでの相談でもOKです。自分の仕事で実施しているリサーチや学会発表の練習など、歓迎いたします。もちろん、守秘義務やコンプライアンスについては問題にならないようにする必要はありますが。ともかく、研究室はみなさんにとっての社会的資源です。