鬱状態について個人的に思うこと
いまから書くことは何の科学的根拠もないし、心理学者として書くわけでもない。個人的な記録として書く。
数年前に鬱状態になってみて思ったのは、いま自分の中で起こってることがよくわからない、なんでこんなになってしまってるんだろう、という感覚だった。
長いこと苦しんで、それがコントロールできるようになって、それがあっていろいろなことが考えるようになった今、改めて考えたことを書く。
どうしてこんなことが自分の体に起きるんだろうか、ということは、書籍やネットででも調べてみると結構あっさりわかるものである。あ、ドーパミンがね、とか、そういうの。もちろん、ストレスについてはセリエの汎適応症候群とか、ラザルスとフォルクマンの理論とかそういうのも。でも同時に、なんというかそういう情報が欲しいんじゃない、と思う。
いろいろ考えて、ずいぶん考えて自分の中でひと通り落ち着いた考え方は「3つのエネルギー」という考え方だった。何度もいうけど、これは全く科学的な話じゃない。個人の主観。感想文。
どうも自分には3つのエネルギーがあるようだ。ひとつは身体エネルギー。もうひとつ正のメンタルエネルギー。最後に負のメンタルエネルギー。これのバランスがメチャメチャになった状態が鬱状態なんじゃないか、と考えてみると自分の中でいろんなことが腑に落ちるようになった。
振り返ると、鬱の状態っていうのは、何かこう「あー、今自分はメチャメチャ疲れてるな、心も体も」って感じから始まる。
で、ある日、朝起きて立ち上がろうとすると立ち上がれない(いや、なんとか立ち上がるのだけど)という状態になって「あれ?何これ?おかしい」と思う。だましだまし仕事に行くんだけど、もうそれが苦痛で苦痛で。時に涙を流しながら駅に向かうことになる。おかしい、休まないと、こういう時は休まないと、とか考えながら何とか仕事に区切りをつけて、1日休む。土日を挟んで3日くらい休むと、身体は元気になる。でも、メンタルが追いついてこない。
この辺りから、自分のことがわからなくなっていく。
それからのことは、まあすっ飛ばして、考えたことの結論を先に書くと
・身体エネルギーは休むとそれなりに回復する
・正のメンタルエネルギーはなかなか回復しない
・負のメンタルエネルギーは自動的に増えてく
ということ。
一般的に、鬱のイメージって、心のエネルギーがなくなって、それに伴って身体のエネルギーもなくなっちゃう、的な感じじゃないかなって思うんだけど実際なってみると全然違うぞ、と。
どちらかと言うと、身体はそれほど疲れてないけど、負のメンタルエネルギーが強すぎて体がコントロールできない。時に、指一本動かすのも辛いという感じになる。負のメンタルエネルギーは放っておくとどんどん溜まる。で、溢れ出す負のメンタルエネルギーは(自分や他人への)攻撃や恨み悲しみ恐れになっていく。
説明の順番がおかしいけど、どうしてメンタルエネルギーが二つなのか、ということを書く。身体エネルギーってのは0(何もない)から100(全部ある)って感覚で、休めば溜まるし、身体を使うと減る。
一方で、メンタルエネルギーを2つにした理由は、ポジティブな感情が増えると、ネガティブな感情が減ったり、逆のパターンがあったりっていうような、そういう拮抗関係がないからだ。そして上記のように、エネルギーが溜まる方法が違うからだ。
健康な状態ってのは、3つのエネルギーのバランスが取れているというよりはむしろ、3つとも自分の意思でコントロールできる状態なんじゃないかなって思う。
で、自分なりのコントロールのやり方をずいぶん模索してきた。
まず、身体エネルギー。これは休むことと、身体を使うことでコントロールできると感じた。
次に、正のメンタルエネルギー。これがまず難しい。溜まらない。休んでも溜まらない。どうしてもポジティブな気持ちになれない。常に低推移。で、瞬間でもポジティブになれる瞬間を探した。自分の場合は何かこう「純粋で美しい」と思うものに出会うと、少しポジティブな気持ちになれることがわかった。子どもの笑顔とか、サリンジャーの小説とか、ブランキージェットシティーの歌とか。ともかく「汚染されてない」と自分が感じるものにやたらと惹かれ、そしてそういうものを目にするたびに涙が出てきた。
最後に。最も厄介なのは負のメンタルエネルギー。放っておくと溜まる。ともかく、脳内の仮想敵が暴れる、嫌なことをいってくる。自分一人でいても、脳内の仮想敵がものすごく嫌なことをいってきて、ストレスで倒れそうになる。人の善意の裏に悪意を疑う。態度にもそういうのが出てしまう。そんな自分が嫌になる。で、この負のメンタルエネルギーが減らない。これが減る、というのを説明するのは少し難しいけど「スカッとする」という感覚が近いのではないかと思う。だから、スカッとすることを探すようになる。
話は少しそれるけど、自分の仕事の中で、自傷する人と何人も付き合ってきたのだけど、彼ら彼女らの多くが、自傷すると「気分が少し晴れる」「スカッとする」「痛いけど、一通り行動を終えると、気持ちが落ち着く」といったようなことを言う。もちろん全部ではないんだけど。こういう行動の裏には、負のメンタルエネルギーを消費するというのがあるんじゃないかと思う。
そういうのは放っておけばいいと思うかもしれないけど、放っておくと爆発する。爆発するときは、本当に自分をコントロールできない。理性を取り戻すのは一通りの行動が終わった後である。
自分の場合は、一瞬でもスカッとする方法を探した。でもこれがまあ、ない。で、お金を使うってのは結構自分の中でそれに相当するのだと気づいた。たぶん、人それぞれもっているストレス解消法ってのがこれに当たるのではないかと思う。寝るのも少しだけ負のメンタルエネルギーを減らすのに効果的だったけど、しばらくするとまた溜まってくる。
負のメンタルエネルギーについてはずいぶん悩んで、結局こいつには外部の原因があるんだという結論になった。嫌いなやつと顔を合わせないといけないとか、仕事そのものが自分にあってないとか、やらないといけないけどうまくいかないこととか。そういうのは、ともかく物理的に離れるしかない。離れられないなら、やっつけるか、解決するしかない。これはもう、運とかそういうのも関係してくるような気もする。
どうにかこうにか、この3つのバランスをうまくとることが自分の健康を保つことなんだ、と感じている。
尻切れトンボな感じだけど、書く気持ちが保てなくなったので一旦ここで終わる。