論文が出ました

ゼミの修了生の小山和彦さんとの共著論文が「体外循環技術」に掲載されました。

小山和彦・岡耕平・西辻冬馬・堀 辰之.(2020). 人工心肺のトラブル対処時の状況認識にクライシスチェックリストが及ぼす効果.体外循環技術, 47(2), 128-137.

本研究は、業務で人工心肺を扱う臨床工学技士24名に対して実施した実験調査研究です。手術を模したシミュレーターを操作してもらい、あるタイミングでトラブルを発生させ、その時の状況認識を測定しました。状況認識というのは、認知心理学分野の専門用語で、一般的にいう「とっさの判断を行うための技能」のことです。この能力が高いと、トラブル時の対処を適切に行うことができると考えられています。

本研究の新規な点は、このようなトラブル発生シミュレーション実験に「クライシスチェックリスト」というツールを導入してその効果を確認したことです。

クライシスチェックリストとはいわゆる項目ひとつずつにチェックマークをつけるあのチェックリストではなく、緊急時対応のフローチャートみたいなものです。アメリカでは導入されている病院も多いようですが、日本の手術では採用されているところはほとんどないといわれています。緊急時にはそんなリストなど見ている暇などない、と考えられているためだと思われます。

今回の実験結果から、状況認識スコアが低くてもクライシスチェックリストを導入すると、導入しない場合よりもトラブル対応時のパフォーマンスが向上するということが明らかになりました。この成果を踏まえると、クライシスチェックリストの導入が医療安全のために有効であると考えられます。