iPhoneをコミュニケーションエイドとして使うアプリ
【2009年12月15日に投稿したものを2010年3月29日に再編集しました】
今回はコミュニケーションエイドとしてのiPhoneの可能性について紹介します.
実はすでにiPhone APP Store には 専用アプリとしてVOCAアプリがあります(但し英語なのですが).たとえばProloquo2GoはAAC目的で作られた専用アプリです.けれども22000円という価格ではなかなか手が出ません(そもそも英語なので,日本では実用的ではありませんが).
最近日本でもコミュニケーションエイドが発売されました.
日本語が使えてこの値段まで下がると,ともかく使ってみようかという気になりますよね.
実はまだ購入していないので,使用感をレビューすることができないのですが,いずれ購入して試してみようと思います.
この様なコミュニケーションエイドアプリで日本語対応のものはほとんどないのですが,既存のアプリも工夫次第でコミュニケーションエイドのように使うことができる場合もあります.もちろん,AAC専用アプリではないので役に立つかどうかは,使い手の特徴と工夫次第ということになってしまいますが.
そういうわけで,安く手に入るアプリで使えるかもしれないアプリを探してみました.
例えば
・ICOON(115円)
このアプリはグローバル・ピクチャー・ディクショナリー(いろいろな物・状況・感情などのイラスト表現集)のiPhone版なのです.いろいろな状況や感情を絵で示してくれていて,触ればその絵が画面いっぱいに表示されるという単純な仕組みです.コメントは英語で書かれていますが,基本的には絵だけ見れば直感的にわかる作りなので,あまり気にしなくてもよさそうです.ちなみにこのアプリは院生のRumiさんに教えてもらいました.
日常生活に関わるさまざまなシチュエーションの中から必要なものを選ぶと
図のように関連する対象のアイコン一覧が出てくるので
必要に応じて,選びます.ちなみに選択は全て画面のタッチ操作で行うことが出来ます.
Emotion(感情)の中から今の自分の感情に近いものを選択してタップすることで,相手に自分の感情を伝えることが出来ます.自分の感情をうまく他人に伝えられない人にとっては役に立つかもしれませんね.
他にも使えるかもしれないアプリとして
説明文は英語で書かれていますが,日本語を登録して使うことが可能です.
このソフトはシンプルで,仮想カードに色と文字,そして既に用意されている何種類かのシンボル(矢印や簡単なイラスト)を自由に書き込めるだけのソフトです(残念ながら写真は入れられません).仮想カードは画面をタッチし左右にサッとワイプすることで次のカードに切り替えることができます.
たとえば,「はい」「いいえ」「わかりません」の3つのカードを作ると,軽い指タッチだけで,「はい」「いいえ」「わかりません」の3種類を表示することができます.
アイデア次第では,使えるかもしれないなと思いました.
こちらはちゃんとコミュニケーションエイドとして開発されたソフトです.他の物と違って比較的安価なのでのせてみました.英語のソフトですが,日本語を入力して使うことができます.写真やシンボルを3つ繋いで[わたし][矢印シンボル][おふろ]といったように,絵で状況を伝えることができます.
ところで,冒頭で紹介したようにVOCAアプリはものすごく高いのですが,
要は
・画面にシンボル(写真)アイコンが表示される
・シンボル(写真)アイコンにそれぞれ録音した音声を登録できる
・シンボル(写真)アイコンを押せばその音声が再生される
といったことができれば,コミュニケーションエイドとして使えるわけですよね.
意外なアプリにそういった機能があったのでご紹介いたします.
これはATACでは紹介しなかったものです.
これはクイズ番組やバラエティー番組で使われる効果音を集めたアプリケーションで,アイコンを押すとそれら効果音が流れるというものです.
これだけだとエイドとしては使えそうにないのですが,この中に「マイメモリーモード」というのがあって,そこには画面に表示された9つのボタンに対して,それぞれ写真と音声が登録できるようになっています.
その画面にアクセスするためのステップ数(3)や余分な背景画像などを考えると本格的VOCAとしてはいまいちですが,使える人もいるかもしれないと思って念のために掲載してみます.
アイコンを押せば音声が出るという関連でもう一つ紹介します.
・iSayHello Japanese – English(230円)
これは和英会話辞典で,日常会話で使われるシーン別日本語フレーズと英語フレーズを対応させたものです.興味深いのはそれぞれのフレーズ部分をタッチすると,それが日本語や英語で読み上げられるということです.
つまり,日常会話フレーズをアイコンタッチで日本語発話することができます.発話が困難な方には良いかもしれません.お気に入り登録もできるので,よく使うフレーズをお気に入り登録しておけば,自分なりのよく使うフレーズを集めたページを作ることもできます.
ただ,自分で音声を登録できないため,VOCAとしてちゃんと使うには難しいかなと思います.
テキスト to スピーチ機能関係で次のようなソフトもあります.
このソフトは現在は英語入力しか対応していないので,全く実用向きではありませんが,コンセプトとして重要だと思うので,ご紹介いたします.
これはテキスト入力した文章を,読み上げてくれるというシンプルなソフトです.入力ができて発話が困難な方には有効なソフトではないでしょうか.
発話速度と,ピッチ(音の高さ)を調整することができます.
この様なシンプルなものがあれば,助かるという人もいるのではないでしょうか.
日本語でこういうものがでれば面白いんですけど.
日本語で無理矢理やるとすればテキストメモをVoiceOver機能で読み上げさせるという方法があります.ただし,この方法だと自分の読み上げさせたい部分だけを読み上げさせるということができません.そこで,次のアプリとVoiceOverを組み合わせることで,いくつかの問題を解消できます.
iHi+は,あらかじめテキストを登録しておいたものをタッチすることで大きく画面表示するというアプリです.元々は口頭でのコミュニケーションが難しいような騒がしい場所で,テキストを使ってコミュニケーションをするというコンセプトで作られたアプリのようです.これにテキストを登録し,VoiceOverに読み上げさせることで,書かれたテキストをタッチするだけで発話してくれるというアプリになります.
あと最後におもしろいアプリケーションをご紹介いたします.
(注:残念ながらアップデートされて日本ではダウンロードできなくなってしまいました!残念・・・)
英語のソフトなので,日本で使うシーンはほとんどないかと思うのですが,ともかくコンセプトが面白いし,無料なのでともかく試していただきたいソフトです.先輩のTKさんから教えていただきました.
LocabularyはおそらくLocal(場所)+ Vocabulary(語彙)の造語です.Locabularyは「場所に応じた語彙を提示するアプリケーション」なんですね.画像を上から順に辿っていただきたいのですが,レストラン→マクドナルドという場所で行われるであろうやり取りに制限し,選択肢を選ぶことで発話し,簡単にその場に応じたやり取りができるようになっています.写真ではマクドナルドの例を用いて「I」「want」「Cheese Bargar」という手続きを示しています.マクドナルドでグランデサイズのラテを頼んだりしないですものね.必要な場所で必要な分だけ簡単にやり取りできるというソフトウェアです.日本からは購入できませんが,Liteの方ではなく本家LocabularyはGPS情報を用いて場所に応じて必要な店舗を自動で表示制限できるという噂も聞きました.今後のコミュニケーションエイドの可能性を示すアプリとして面白いですね.