2023年3月10日、「見立て」に関する研究をするために みたてラボ を作りました。ここであつかう「見立て」とは、人の行動を対象にその行動の理由や背景の状態についてある一定の論理に基づいて情報を整理する作業です。見立ては対象者の利を最大化するためのものです。「名付け」のためになされるものではなく、上から目線でなされるものでもありません。みたてラボでは見立てのための観察、介入、評価などについてその方法を議論し、研究し、知見を皆さんと共有することを目指します。
みたてラボは、主に講演や議論の活動をするための「オンラインラボ」と、主に対面での実験的な活動をするための「オープンラボ」の2部門で運営することとします。
INDEX
運営について
主催者
岡 耕平 博士(人間科学) 滋慶医療科学大学大学院 教授 公認心理師
実験心理学をバックグラウンドとする認知心理学者です。特別支援教育、ヒューマンインタフェース、職業リハビリテーション、医療マネジメントの領域でこれまで研究活動をしてきました。
プライバシーポリシー
-> こちらのページ にみたてラボのプライバシーポリシーを掲載しています。
オンラインラボ
イベント参加申込
2023年5月20日 みたてラボonline#3 無事に終了しました。参加していただいた皆様、ありがとうございました。次回以降の日程は未定ですが、テーマは「統計学の基礎の基礎」「実践の中でできる実験」「人の発達を知るのに役立つ理論」にしようと思っています。
これまでのイベント
過去イベントの録画はありません。過去イベントと同内容のセミナーを聴講されたい場合は、ご相談ください。20チケット(1チケット1000円)以上の申し込みが見込める場合(お一人で20チケット購入いただいても構いません)、再度同じ内容のセミナーを開催することは可能です。
#1 「これから始める『みたてのラボラトリ』とは」(90分フリーイベント)
- ここであつかう「みたて」とは何か
- みたてラボを通じて何を成し遂げたいか
- 今後のみたてラボのあり方と意見交換
#2 「因果関係を説明する」(90分)
- 朝食を摂ると「学習・運動成績が良くなる」グラフの正体は?
- XとYに関係があることと因果があることは異なる
- 相関関係と因果関係の違い
- ミルの基準
- 支援教育周辺でよく聞く因果の説明
- ワーキングメモリが弱いから、文章が読めない
- 認知が歪んでいるから、ケーキが3等分できない
- 因果関係の特定手法としての実験
- 原因と結果の関係とその示し方
- 「エビデンス」にはレベルがある
- データの信頼性を高めるもの低めるもの
- 因果関係の理解を誤るポイント
- 妥当性(Validity)と信頼性(Reliability)
- 比較対象があるから言えること、なくても言えること
- 交絡要因の統制
- 教育・福祉の実践における課題
- 教育・福祉の現場で使いやすい研究デザイン
- 因果関係の古典的検証法(Mill,1843)
- 一致法(method of agreement)
- 差異法(method of difference)
- 一致差異併用法(joint method of agreement and difference)
- 共変法(method of concomitant variations)
- 剰余法(method of residues)
- 説明における問題
- トートロジー(同義語反復)
- 還元主義
- 説明における2つの水準(ドレツキ, 2005)
- 起動原因(triggering cause)と構築原因(structuring cause)
- ケース:文字がうまく書けないAさん
#3 「支援技術としての生成AI」(90分)
- 今回の話題
- ChatGPTを支援技術として利用する前に知っておいた方がいいこと
- ChatGPTは認知機能を代替できるのか?
- ChatGPTを支援技術として利用するためのポイント
- ChatGPTとは何か?
- 結局何をしているのか?
- 知っておいた方がいい仕組み
- 前提としてのニューラルネットワーク
- ニューラルネットワークの課題となってきたこと
- 応用場面が多いニューラルネットワーク
- アテンションとトランスフォーマー
- GPT:Generative Pre-trained Transformer
- GPTは認知機能を代替するか?
- スマートスピーカーは知的障害のある人の支援技術となるか?
- 知的障害のある人のコミュニケーションに重要な2つの要件
- 明確化要求
- 応答援助
- 4つの明確化要求
- 説明要求
- 反復要求
- 聞き取り確認要求
- 理解確認要求
- 4つの応答援助
- 限定質問
- 説明
- 提案
- 訂正
- 実験:スマートスピーカーはどこまで対応可能?
- ChatGPTはどこまでクリア可能か?
- 心の理論(theory of mind)
- 誤信念課題
- 一次的誤信念課題(チョコレート課題)
- 二次的誤信念課題(アイスクリーム課題)
- ウェイソン選択課題(4枚カード問題)
- Hallucination (幻覚)問題
- ディスカッション
- 単語のつながりを超多層的にニューラルネットで解析することでここまで「文脈がわかっている」ように振る舞えるのであれば、人間における「文脈を読むことが著しく困難」な障害は、一体どういうメカニズムで生じているのだろうか。
- GPTを支援技術に応用する
- ChatGPT×別のサービスとの組み合わせ
- プロンプトエンジニアリング
- ChatGPT×マッピングソフト
- 教育場面でのChatGPTに関する論題
- 教育への影響は?
- 教育の中で使わせるか否か?
- 信頼性は?
- 権利の侵害は?
- 生成AIに対する誤解
- 今回のまとめ
オープンラボ
2024年度より、みたてラボのオープンラボ部門「みたてラボベース」を始めます。不定期の土曜日に研究室にお越しいただける機会を設けます。チャレンジャーとガーディアンの2つの部門を想定していますが、混ざったり同時進行したりすることがあります。チャレンジャーとガーディアンについては以下をお読みください。
チャレンジャー部門
主として年齢が若かったり経験が浅かったりする人を対象にしています。世界にチャレンジする人という意味でチャレンジャーとしました。チャレンジというのは自分がチャレンジだと思うものであれば何でも構いません。他の人に認められなければならないというものでもありません。
⚫︎まちがい研究部
勉強する中でわからなかったこと、間違えてしまった問題を持ち寄り、なぜわからないのか、どうすればわかるか、といったことについて研究する部です。自分で何か「わからない/間違えた問題」を持ってきてください。オープンラボでは宿題をひとつずつ教えることはありません。でも、ひとつの問題についてわからないことをわかるまで一緒に考え、わかるための手伝いをします。
⚫︎学びかた研究部
みんなと同じやり方だとうまくいかないな、と感じている人に対して、その人により適した学習方法を見つけるための手伝いをします。
⚫︎自由研究部
自分が興味のあること、自分が取り組んでいることについて、どうすればもっと体系的に、学術的に、進めていくことができるのかといったことについて指導と助言をします。研究の方法について学ぶ機会を提供します。研究というのはいろんなかたちで行うものです。ガッツリやりたいチャレンジャーにはガッツリ指導助言しますが、ほどほどでいい人にはほどほどに指導助言します。
ガーディアン部門
主として子どもを見守り、育て、指導する側の人を対象としています。見守り育てる側としてガーディアンとしました。別に「守りに入っている」というネガティブな意味ではありません。責任をもってきっちりと見守り育て指導するためのスキルアップを目指したい攻めの姿勢の方を対象としています。
⚫︎教えかた研究部
現在の教えかた、伝えかたではどうもうまくいかないといったことについて、何が問題なのか、どうすればうまくいくのかを検証したり、提案したりします。チャレンジャー部門の活動に参加してもらう場合もあります。
⚫︎自由研究部
チャレンジャー部門の自由研究部と同じです。同じですが、こちらの場合はガッツリやりたい人限定です。
アシスティブテクノロジーリソースセンター
みたてラボにある支援機器・テクノロジーを体験できる機会を提供します。合理的配慮や障害支援技術の利用という場面において、何が有効な手段なのかということは実際に試して検証してみないとわかりません。幸いなことにみたてラボではいくつかの支援技術(アシスティブテクノロジー)を所有しているので、それを試せるようにしています。
みたてラボへのサポート
-> 研究活動のためにほしいもののリスト です。応援していただけると嬉しいです。選択肢に中古品がある場合はそちらで十分嬉しいです。