第110回ヒューマンインタフェース学会研究会で研究発表してきました.

Posted by Kohei on 6月 13, 2014 in 研究発表 |

確認したらずいぶん更新が滞っていたので,反省しています.

第110回ヒューマンインタフェース学会研究会
「コミュニケーション支援および一般(SIG-CE-09)」
http://www.his.gr.jp/meeting/188-pro.html

で研究発表してきました.

重大医療事故の背景にあるヒューマンエラーの分析 ー コミュニケーションの齟齬を中心として ー
岡 耕平(滋慶医療科学大学院大学)
ヒューマンインタフェース学会研究報告集 Vol.16 No.3 Pp.319-322.

この研究はタイトルがすごく古くさくて何の目新しさもないような感じですが,実際にやったことは新しいと思います.

安全の研究分野では,従来のSafety1 からSafety2という考え方のシフトが起こっています.
簡単に乱暴にザックリ書くと,
Safety1:例外的に生じた事故を事後に分析し,事故原因を特定して対策することで事故の再発防止を目指す考え方
Safety2:日常の作業がなぜ上手くいっているのか分析し,パフォーマンスの振れ幅を制御することで事故の未然防止を目指す考え方

どっちも大切なので,どちらか一方にシフトする必要はないんですが.

で,このSafety2ってのを提唱している人がHollnagelという人なんです.で,この人が提唱するSafety2の分析手法である Functional Resonance Analysis Method(FRAM)がものすごくわかりにくいし分析しにくいし,その分析結果をどう現場で役立てたらいいのか解らない.文献読んでもよく理解できないわけです(コレについては私の能力の問題ですが).

なので,Safety2の考え方を重視しつつ,現場でできる分析手法を考案して,実際にやってみたよ,というのが今回発表した研究の内容です.

今回の手法では,RCA分析のようにできごと流れ図を作るのですが,その際に「実際に行った手続き」と「本来定められていた手続き」を対比させて記述し,そのズレを検討していきます.合わせて,作業者がどのようなタイプのヒューマンエラーを起こしたのか,記述していくと面白いことが見えてくるわけです.

今回はこの手法を実際に生じた従来医療事故に適用して分析してみました.
Reason(1990)のエラー分類を元に評価すると,バイオレーションとミステイクが多いんですね.で,そのバイオレーションに携わる人は1人ではない.いろんな人がちょこちょこバイオレーション(意図的な手順の逸脱)をしている.で,そのバイオレーションって,ほとんどがオミッション(すべきことをしなかった)エラーなんですよね.つまり,マネジメントの問題なわけです.コレは単純に「医療現場では定められた手続きではなく臨機応変に対応しなければならないから」というレベルの話ではないんですね.バイオレーションは想定している安全対策を意図的にすり抜けますから,何かが起こると即,事故に繋がりやすくなるわけです.後は確率論の問題ですから,バイオレーションの回数が増えると事故の確率が増えるということになります.

今回の手法を用いて普段の職場で手続きの逸脱回数を数えて,マネジメントを見直すことが事故の未然防止に繋がるという話です.
一般的に事故が起こると安全対策を講じます.コレは重要な事なんですが,結果として手順が増えるわけです.で,忙しくなるとそういう手順が守られなくなって,本末転倒な状態になってしまうわけです.
この矛盾を解消するひとつの方法になればなあと思っています.

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