コミュニケーションが困難な発達障害のある人のキュレーティング・コミュニケーション

論文が出ました.

岡 (2014). コミュニケーションが困難な発達障害のある人のキュレーティング・コミュニケーション, 認知科学21(1), P.45−61.

この論文は,言いたいことがあるにもかかわらず,それを自分で言語化することが難しい人が,TwitterのRetweet機能を使って「他者の言葉を借りる」ことで自らの考えを主張し,表現の幅を広げている可能性を示したものです.一般的には,コミュニケーションの問題というのは該当の話者1人に帰属されます.なので,上手く自分の気持ちを言葉にできない人は”コミュ障”なんて言われたりする場合があります(ちなみにコミュ障なんてのは専門用語ではありません.ただのネットスラングです).しかしながら,コミュニケーションというのは本来ひとりで成立しません.2人以上いて初めて成立するものです.自分がどう発信して,それを相手がどう受けとめるか,という両者が揃って初めて成立するものです.この論文では,言いたいことがたくさんあるのに,それを上手く言葉にすることが難しいAさんが,代弁の手段としてTwitterを使っているのではないか,ということをツイートのログを解析することで検討しています.代弁だろうが何だろうが,自分の意図が他人に伝わるのなら,それはその人のコミュニケーション手段ではないでしょうか.そういうコミュニケーション手段が利用可能な状況において,コミュニケーションの障害っていったいどのように評価されるべきなんでしょうか.

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