論文が出ました

明けましておめでとうございます.

去年は更新頻度が低かったので,今年はもう少し頑張りたいと思います.

まず報告ですが,去年の末に論文が出ました.

 

吉野眞美・岡耕平・木内淳子. (2013) 看護師等が刑事責任を問われた事故の根本原因分析 ~そこから学ぶ事故防止策の不備の検討〜 医療の質・安全学会誌, 8(4), 336-347.

 

この論文は,医療事故に関して看護師が刑事裁判で有罪判決となった事例について,その裁判例から事故背景を再分析し,有罪か無罪という観点ではなく,事故の背景にどのようなエラーがあったのか時系列に沿って明らかにしたものです.基本的に,大きな事故はひとつのエラーで生じるものではありません.いくつかのエラーが重なって生じます.このエラーの重なりを「不運」としてではなく,どのようなエラーがなぜ重なったのかを検討することによって,事故の再発防止のために役立てようというものです.結論から書くと,事故の背景には罪に問われた個人のヒューマンエラーだけではなく,設備の問題や組織の問題,訓練や教育の問題があって,今回取り扱った6事例全てに複数の要因の重複が見られました.結局,大きな事故の原因というのは少数個人の問題ではないんですね.当たり前のことですが,この当たり前のことをデータで示したというのがこの論文の要です.

 

 

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