Microsoft Lime 利用動画と開発者へのインタビュー

先日,高校や大学などの入学試験での合理的配慮について助けとなる Lime というソフトが話題になりました.

参考:マイクロソフトウェブサイトの記事「東大先端研と日本マイクロソフト、障害児の入学試験を支援するソフトウェア「Lime」を共同開発、本日より無償公開

Lime というのはいわゆるキーロガーに近いソフトで,コンピュータの利用者が何をどういう順番でどのようにキー入力したか,を記録できるソフトです.何なの?情報盗むの?こわい! というものではなくて,障害のある子どものために開発されたソフトなのです.

世の中には数%「文字を手で書くことが困難な人」がいます.目が見えない人,身体機能の問題で手がうまく動かせない人,書字に障害のある人,などがそうです.そういう人はどうやって試験を受けているのでしょうか.試験と言えば,一般的には紙で配られて,ペンで書いて回答するわけです.手で書くことが困難な人はそういう試験をどうやってクリアしているのでしょうか.別の方法で回答させてもらえるところもあるでしょう.でも「試験は紙,回答は手を使って書いて」というところが多数派なんですよね.特に入試.そういう人たちはこれまで学力は足りていても進学をあきらめざるを得ない,という状況に面していたわけです.

入試というのは何のために行われるのか,ということです.ここを改めて考えないといけないでしょう.手で書くことが困難な人のなかにはコンピュータを使った「文字の入力」であれば文章を書くことができる人が結構います.でも,入試ではコンピュータの利用を認めているところは少ないわけです.理由としてよく言われるのが「変換機能や計算機能があるので他の受験者より有利になってしまって公平性を欠く」というものです.ここで本人が「いや,私はそういう機能使いません.だからコンピュータで回答させてください」って言ったとしても,許可してもらえないわけです.

Lime というのはそういう問題を解消するソフトなのです.どこでどういう風に入力したのか,どういう漢字の候補の中から変換したのか,他のソフトを立ち上げたかどうか,そういうものが全部記録できるソフトです.試験をする側は,これを使えば受験者が「ズル」をしたかどうか証拠を基に検討できます.受験者は自分の代わりに記録で潔白を証明できるわけです.

こういうソフトの仲介があれば,受験に対する「手で書いて回答しなければならない」ことのハードルは回避できるというのがこのソフトの画期的なところです.

というわけで,そのソフトを使用している様子と,開発者の意図を動画で撮ってきました.ウェブにあげて良いという許可をもらったので,あげます.

Lime使用時の様子の動画(m4v.29.8MB 重いので注意)

Lime開発者による開発意図(m4v.13.9MB 重いので注意)

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