ガイドヘルパーのパニック対応

 先日,ショッピングモールで知的障害のある青年とそのガイドヘルパーを見ました.青年はパニックを起こしているようで,大きな声で叫びながら,ガイドヘルパーの手をふりほどいてどこかへ行こうとしています.ガイドヘルパーはそれを必死で抑え込みながら「どうしたん?なぁ,どうしたん?」となだめるように優しく声かけしています.
 一般的には「知的障害のある人が騒いでいるのを優しく止めるヘルパーさん」と見えるのかもしれません.けれども,これはガイドヘルパーのミスなんだと思います.
 多くの場合,知的障害のある人のパニックには原因があり,パターンがあります.ある人はいつもの手順が崩れたときにパニックになったり,ある人は特定の刺激を受けたときにパニックになったりします.人によって原因はさまざまなのですが,個人内では原因が一貫していることがほとんどです.つまり「傾向と対策」があるということです.
 ガイドヘルパーにとって,自分の担当している知的障害のある人がパニックを起こした時点でそれは失敗です.本人だってパニックを起こしたくて起こしているわけではありません.

重要なことは,
1)まずパニックを起こさせないこと
 です.それができなかった場合に
2)パニックが起きたときにその人がクールダウンできる方法を知っておくこと
 が重要になります.

 これらは事前にちゃんと情報を集めておけば対応できます.1については,その人がどういう状況でパニックになるのか,原因を確認することが重要です.2については,その人の最もパニックが収まりやすい方法について,確認しておくことが重要です.
人気のないところに移動して,しばらくじっとしていれば気持ちが収まる人もいますし,特定の音楽を聴くことで自分を落ち着かせることのできる人もいます,
 パニックが起きたときに,優しい声で「どうしたの?」と尋ねても,意味はありません.その状況で答えられるような人は,きっとパニックを起こしません.「優しさ」をはき違えないようにしないといけません.パニックがきっかけで自傷行為が出るかもしれません.そういうことを頭に入れておく必要があります.引き継ぎや,事前の打ち合わせで,こういうことをちゃんと確認しておくことが,ガイドヘルパーとして大切なことです.ほんのちょっとの事前の気遣いが,大きなトラブルを防ぐことというのは結構多いです.(このコラムはサポートネットワークアミーカウェブサイト掲載用に書いたものを転載しています.)

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